「竹紙」とは
竹を原料として活用した、国産竹100%の紙が誕生
鹿児島県薩摩川内市。日本の竹林の約1割を占め、竹林面積日本一を誇る鹿児島県の中でも特に竹林が多いこの地域に製紙工場を有している中越パルプ工業では、放置竹林対策はもちろん、地域産業でもあるタケノコの生産性を高め、竹林が循環する持続的な森林経営を応援したいと考え、国産竹を有効活用して紙の原料とする取り組みを始めました。
本来製紙原料には不向きな竹ですが、試行錯誤を繰り返し、現在では日本の竹100%を原料とした竹紙をマスプロ製品として取り扱う唯一の国内製紙会社となりました。余計な仕事こそが、社会を変える第1歩
1998年からスタートした竹紙の取り組みですが、最初から会社を上げての企業活動ではありませんでした。挑戦を試みた最初のひとりがいたからです。タケノコ生産量でも日本一を争う鹿児島県では、当時5年生以上の親竹を間引くことで、循環して良質なタケノコ生産を促し、生産量も向上させるよう指導していました。しかし伐採された竹は、コストをかけて燃やすか、粉砕して土に戻すために何年も山積みにして腐らせるのを待つしかありませんでした。そこで地域から「伐採した竹を製紙原料に使えないか」と相談されました。本来、紙の原料はその用途に応じた木材や古紙です。木材のように繊維があるものの、中が空洞で運搬コスト、加工コストのかかる竹を「木材と違い原料とするのは難しい」と断るのではなく、地域のために「やってみましょう」と始めた従業員がいたのが全ての始まりです。その結果、今では放置竹林の問題に対し、年間2万トンを超える竹を持続的に活用することを可能にして、社会的課題解決の糸口を示しました。あるひとりが、いつも自分の仕事の中に、社会のためになる余計な仕事を積極的に取り入れ、行動したことによって、世の中を少し前進させることができたソーシャルグッドの実例です。
サイズ A5 ページ 40枚 ページ ドット方眼 原料 日本の竹100%の紙 メーカー 中越パルプ工業株式会社