これまで日本語の読解授業は、ともするとそれまでに習った文型を確認するために行われていなかったでしょうか。文章を味わい、ことばを楽しみ、思考を深める――そんな、本来の読みにつなげられていたでしょうか。本書の基本理念は、読むことを通して人とつながる力を養うことにあります。厳選された55本の読みものは、チラシ、案内書き、看板などの接触場面を中心にした「日本で暮らす」、昔話、落語、習慣、風習などを中心にした「日本を知る」という2部構成で、初級から楽しく読める工夫が随所にほどこされています。付属CDには情感たっぷりの読み上げ音声とともに、特別収録として桂扇生師匠の「まんじゅう怖い」を一席、収めました。また、英語、中国語、韓国語、ベトナム語の語彙リスト付き。「できる日本語」シリーズ準拠。日本語を楽しみながら読んでほしい、そんな著者の願いがぎっしり詰まった1冊です。