【出版社PR】
上手な日本語とは、正しい日本語ではなく、「ふさわしい」日本語――特に日本語の場合、その場の空気を的確につかみ、言葉選びをすることが重要である。社会言語学とは、言葉を、生きたものととらえ、実際の言葉が、出身地や性差、職業、社会階層、状況、伝達手段、伝達相手、などによって、多様に使い分けられていることを研究する学問である。その取り扱う内容もさまざまだ。なぜ、方言はうらやましがられたり、馬鹿にされたりするのか。『となりのトトロ』のサツキとカンタの会話から、何が分かるのか。あの人はなぜ自分のことを「オレ」と言ったり「ぼく」と言ったりするのか。ママと呼んでいたのがかあさん、おふくろ、母親、と変化するのはなぜか。状況に合った敬語が使えるようになるにはどうしたらよいのか……。現実に使われる等身大の身近な日本語に焦点を当てながら、自分の言葉を相対化し、自分と社会の関係を見つめなおすことにもつながる1冊。