こんな経験、ありませんか。
考えていたことをすぐにメモしたかったのに、メモ帳の厚みや段差が気になって、置く位置を調整しているうちに、書きたかったことを忘れてしまった――。
日常の中に潜む、ほんの小さな“違和感”。
それは、私たちの思考やひらめきを、知らぬ間に止めてしまう存在かもしれません。
雑貨屋【SIRUHA(シルハ)】は、そんな“思考を止める違和感”を生活から取り除くことで、良い思考が自然に生まれる環境を整えるための道具をつくっています。
便利さを追うのではなく、考える人の思考の流れを邪魔しない。
ひらめきが生まれる日常を支える、そんな道具づくりを続けているお店です。
“良い思考=整った環境”という考えから生まれた道具たち
【SIRUHA(シルハ)】の道具にはある共通点があります。
それは、使う人の思考の流れを邪魔しない“違和感のない設計”であること。
【SIRUHA】の店主、藤本さんが考える“違和感を取り除く”という行為は、単に「便利にする」ことではありません。
それは、使う人が無意識のうちに抱えている小さなストレスをなくし、「考える」「感じる」「ひらめく」といった人本来の営みを取り戻すための工夫なのです。
書くこと、歩くこと。
そのどちらもが、思考を巡らせることにつながる行動。
書くことで頭の中が整理され、歩くことで視界が変わり刺激を得られる。
それらの行為をする上での違和感を取り除くことで、より自然に、より深く思考することができるのです。
【SIRUHA】の道具は、そんな環境を整えるために生まれています。
例えば、【SIRUHA】で人気の手帳は、あえて“書く以外の機能”を取り除いています。
一般的な手帳にあるカードホルダーやポケットがついていないことによって、余計な段差や厚みがなく、書くときの違和感を軽減しています。
また、考えをすぐに書き留められるよう、いつでも新しいページを開きやすいようにブックマークがついています。
このように「書く」という行為を妨げない設計によって、思考が止まらず、発想が自然に深まっていく――。
まさに“良い思考を邪魔しないための道具”です。
創業当初から変わらない形で約2万個を出荷しているミニ財布もまた、”歩く”という行動をする上で“違和感のない行動”を叶える道具のひとつです。
藤本さんは、世の中にある様々な財布を研究し、最も身軽になれる形を追求しました。
浅めのポケットに小銭、外側のポケットにレシート。
必要最小限の構造で、持ち運ぶ人の動作を軽やかにしています。
身軽になることで、行動が自由になり、歩く中で感じる風景や音、香りが新しいアイデアをもたらす。
SIRUHAの道具は、そんな“創造の入口”を支えています。
“良い思考=整った環境”という考えに至ったきっかけ
【SIRUHA】というブランド名には、「“知る(SIRU)”ことによって新しいアイデアが“葉(HA)”っぱのように次々と生えてくる」という考えが込められています。
その名の通り、SIRUHAのものづくりは「思考の流れを止めない」という理念のもとにあります。
藤本さんがこの考えにたどり着いたきっかけは、お子さんの誕生でした。
「今の社会だけでなく、自分がいなくなった後の世界もより良くしたい」という想いが芽生え、手帳に“どんな社会なら生きやすいだろうか”と問いを書き続けたといいます。
その中で見えてきた理想は、
「すべての人が人生の中の違和感を解消できる社会」
「すべての人がやりたいことを突き詰められる社会」。
このように自分と向き合いながら“書く”という行為そのものが、思考の中で生まれる小さな違和感と対話する時間であり、考えを形にしていくプロセスこそが、創造の原点なのだと気づいたそうです。
また、他者の話を聞いたり、自然や芸術に触れたりといった外からの刺激も、アイデアを生み出すうえで大切な刺激だと実感したといいます。
こうした思考の経験を経て、藤本さんは書くための違和感を取り除き、人が抵抗を感じることなく書く・出掛けることができる環境を、ものづくりを通じて実現しようと決めたのです。
違和感のない道具が導く、よりいい未来への近道
スマホや車の普及によって、“自分の手で書く”“自分の足で歩く”機会が減っている今、SIRUHAはその行動を自然に取り戻せるような道具を作っています。
書くことで頭の中が整理され、歩くことで視界が変わる。
その流れを邪魔しない道具こそ、ひらめきを生む環境を整える存在。
限られた時間を大切に、自分や大切な人としっかり向き合えるように。
【SIRUHA】が提案する“違和感のない道具”は、より良い未来へと続く“近道”なのかもしれません。
ひとつひとつの道具に込められた、思考を邪魔しないための丁寧な工夫。
その背景にある店主・藤本さんの「良い思考を生む環境を届けたい」という静かな決意。
そうした想いに触れると、「この人の作る道具を、自分の暮らしにも取り入れたい」そう思わせてくれます。