師匠:日本の文化って特異だよね。
弟子:どういうとこが特異なんです?
師匠:たかだか100年前の母国の文字が読めないとかさ。
弟子:言葉は生きてますからね。
師匠:どうかすると50年前でもアヤシイよな。
弟子:勉強不足だからですよ。
師匠:勉強?勉強しないと読めない事自体がおかしいだろ?
弟子:まぁね。そう言われればそういう気もするね。
師匠:家を建てても瓦は使わないし。
弟子:効率ですかね。
師匠:瓦は空手家しか使わないよな。
弟子:それは違いますね。
師匠:髷を結うのもやめた。
弟子:効率ですかね。
師匠:ヘルメット被ったら訳が分かんない髪型になるからね。
弟子:それは違いますね。
師匠:筆を使うこともやめた。
弟子:効率ですかね。
師匠:いつまで洗っても墨汁が出てきてイライラするからね。
弟子:それは違いますね。
師匠:着物を着るのもやめた。
弟子:効率ですかね。
師匠:自転車に乗ってコンビニに行けないもんな。
弟子:それはそうかもね。
師匠:そんなに効率が大事ならハンコよりサインでいいじゃん。
弟子:それ不思議ですよね。僕もそう思います。
師匠:日本ってね、文化を踏襲しないで壊して進むんだよ。
弟子:大げさだなぁ。
師匠:独自の文化を進化させたんじゃなくて、西洋を取り入れて発展した感じ。
弟子:そうかなぁ。
師匠:身の回りは西洋文化ばっかりだよ。
弟子:だって便利なんだもん。
師匠:自分の名前をひっくり返してまでなんで西洋に媚びたいんだろう?
弟子:媚びてるワケじゃないんじゃないの?
師匠:度々言うが、日本には日本の伝統様式美を表す言葉がないんだよ。
弟子:というと?
師匠:ここに非常に日本の伝統様式美なブローチがあったとする。
弟子:うん。
師匠:それを見て何と言う?
弟子:和風ブローチ。
師匠:だからさ、「和風」って「和っぽい」ってことだ。和じゃない。
弟子:じゃ、和柄ブローチ。
師匠:ブローチの形状が和だとしたら?柄じゃなくて。
弟子:和形状ブローチ。
師匠:工業製品か。
弟子:なんて言えばいいの?
師匠:だからないんだよ。古より日本人はその言葉を考えなかった。
弟子:なんでだろうね?
師匠:でも日本人は伝統美とか雅とか和を感じさせるとか原風景とかが好き。
弟子:ですよね。みんな大好き。
師匠:だから現在でも伝統にこだわって作品を作り続けている会社もある。
弟子:それを紹介していこうと。そういうことですね。
師匠:うん。
弟子:積極的に生活の中に和を取り入れて愛でよう。と。
師匠:うん。
弟子:相変わらず回りくどいですね。
師匠:そう?言い足りないくらいなんだけどな。
弟子:じゃさ、古より受け継がれてる日本の伝統文化はないの?
師匠:あるさ。
弟子:なになに?
師匠:お正月。
弟子:わかるーーー!!お正月って絶対的伝統だよねー。
師匠:あとは、お箸とこけしかな?