師匠:いいだろう?
弟子:すんごいキレイですが、くまが着物着てますよ。
師匠:昔ながらの顔立ちのお雛様もいいんだが、好き嫌いがあるだろ?
弟子:うん。なんか、敷居が高い感じはあるよね。
師匠:世の中のくま人気は非常に高くてな、判定が厳しくなる“お顔立ち”より
くまの方が受け入れられやすい。と。こういうワケだね。
弟子:なるほどね。コレクターズアイテムとしてもいいよね。
師匠:モチーフをくまにした事でポップな印象があるが、このお雛様は
とんでもない高度な伝統工芸品なんだよ。
弟子:木目込みって書いてありますね。なんなの?
師匠:まず胴体を作る。で、作った胴体に溝を掘る。そして、彫った溝に布地の端を埋め込んで、衣裳を着せたように見せる人形なのだよ。
弟子:大変そうですね。
師匠:埋め込むことを「きめこむ」とも言ったところから、木目込(きめこみ)人形と呼ばれるようになりました。
弟子:なりました…って。どこに書いてあったの?
師匠:ワシの豆知識ですが。
弟子:うそつき。
師匠:社団法人日本人形協会。
弟子:信用出来るね。
師匠:ここにね、製作方法が詳しく出てるから紹介するよ。
弟子:ひゃー。こりゃ大変ですよ!
師匠:だろ?使っている着物は幕末から昭和初期のちりめんなんだよ。
弟子:凝ってますねー。
師匠:丁寧に丁寧に洗い張りをして柄を選んで木目込んだんだね。
弟子:じゃ、同じ柄の物がないってこと?
師匠:もちろん。小さい物だし、本当に丁寧に作ってあるよ。
弟子:ですね。高さが12センチくらいで幅は11センチ程度ですよ。
師匠:お雛様と言うよりは木目込人形としていつもふと目につく所に置いて欲しいと作家の方は仰っておられる。
弟子:その気持分かるなー。
師匠:ほんとかよ。
弟子:分かりますって。
師匠:それならよかったよ。ちなみに専用台も付いてます。