弟子:ずいぶんレトロチックな袋ですね?
師匠:うむ。お前は知らんかも知れんが、これは昔の薬袋なのだ。
弟子:薬袋?ですか。
師匠:そう。昔はこんな袋を使っていたんだね。
弟子:病院で薬をもらう時の白い袋みたいな感じ?
師匠:そうそう。それの民間バージョンだね。
弟子:気が利いてますね。コマーシャル入りで一種の宣伝ってワケですね。
師匠:その通り。これは珍しいよ!
弟子:薬はまだわかるけど、こういう小袋が残ってるってすごいですね。
師匠:いいこと言うねぇ。なかなかないんだよ。
弟子:色んなものが好きな人がいるんですね。
師匠:結構多いんだよ。デザイナーさんとかね。
弟子:なるほど、デザインはすっごくいいですよね。
師匠:デザインはって、何が悪いんだ?小袋批判か!
弟子:いえ、何も。きったねーと思う人がいるんじゃないかと思って。
師匠:知らない人は買わないと思うぞ。古いものだから汚れてるし破れたりもしておる。
弟子:じゃぁ、なんで集めるんですか?
師匠:収集はキレイな物だけを集める事なのか?
弟子:そういうわけじゃないですけど。
師匠:薬袋は面白いぞ。まず、デザインが秀逸。
弟子:まさしく、昭和レトロですね。
師匠:製薬会社の歴史を紐解くも良し、効能書きや言葉使いも興味津々。
弟子:なるほどなるほど。
師匠:封緘の研究なども有意義だしね。
弟子:面白そう。
師匠:商品パッケージの基礎が全て詰まっておる。知らない世界がどんどん広がるぞ。
弟子:どこで売ってるんですか?
師匠:ここ。
弟子:そうじゃなく。
師匠:ほとんど売ってないよ。古物侍に頼むと何とかしてくる。
弟子:あー、あの人ヘンなものばっかり持ってますよね。
師匠:だから、ヘンなものじゃないってば。