構成: 小説
ページ数: 250p
作者: 王聡威
訳者: 倉本知明
出版社: 白水社
言語: 日本語
発売国: JAPAN
発売日: 2018年8月17日
本書は、2013年に起こった「大阪市母子餓死事件」が素材になっている。当時マンションの一室で28歳の母親と3歳の息子が餓死状態で発見された。母子の孤独死は、無縁社会を象徴する事件として台湾でも大きく報じられ、衝撃を受けた著者は、舞台を台湾に置き換えて、本書を書き上げた。
主人公の美君は、6歳の娘と暮らす30代の平凡な女性。あるとき、夫から暴力を受け、家を出る。近所に引っ越し、夫からの連絡をひそかに待ちながら、夫や元彼、職場、結婚・出産時のことなど、過去を様々に思い返す。一方で、夫、元彼、娘、親、弟、同僚、友人の独白からは、まったく異なる美君の姿が浮かび上がってくる。すれ違う意識と?みあわない現実。些細なきっかけから美君は周囲との関係を断っていき、しだいに自らを追い込んでいく……。 他者からどう見られるかを常に意識して行動し、自分が選ばれるべき人間だと自負する美君。ネットやSNSが浸透し、容易に他人と深く関われる社会のなかで、なぜ母子は孤独死するに至ったのか。誰にでも起こりうる震撼の事件の全貌を独白体によって鮮烈に描き出し、現代の日常が孕む闇を射抜く傑作長篇。
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